10月22日(金)公開の『ひらいて』を試写で観させて頂きました。
『ひらいて』
「たとえ」が好き でも、彼には「秘密の恋人」がいた
<作品解説>
芥川賞受賞作家・綿矢りさが描く小説「ひらいて」を、今映画界で注目を集める弱冠26歳・新進気鋭の若手監督・首藤凜が実写映画化。主人公の女子高生・木村愛役に若手の中でも最注目の女優・山田杏奈を大抜擢。彼女と共に熾烈な三角関係を描く主要キャストに、映画初出演の作間龍斗(HiHi Jets/ジャニーズJr.)と実力派若手女優・芋生悠を迎えた、青春映画の系譜を飛び越えた乱反射する少女の愛憎エンターテイメントがついに公開。
高校3年生の愛(山田杏奈)は、成績優秀、明るくて校内では人気者。
そんな彼女は、同じクラスの“たとえ”に片思いをしている。彼はクラスでも目立たず、教室でもひっそりと過ごす地味なタイプの男子。だが寡黙さの中にある聡明さと、どことなく謎めいた影を持つたとえに、愛は高1の時からずっと惹かれていた。しかし、どこか人と関わりを持つことを避けているようなたとえに、愛はなかなか近づけずにいた。自分だけが彼の魅力を知っていると思っていた。だが、彼が学校で誰かからの手紙を大事そうに読んでいる姿を偶然見てしまった事で事態は一変する。「たとえに、好きな人がいるのではないかー」その疑惑がぬぐいきれず、愛はある夜、悪友たちと学校に忍び込み、その手紙を盗んでしまう。手紙の差出人は、糖尿病の持病を抱える陰気な少女・美雪。その時、愛は、初めてふたりが密かに交際していることを知るのだった。学校内でも目立たない彼女の存在が突如たとえの彼女だと知り、熱い恋心が乱反射する。そして自らの気持ちを隠して美雪に近づいていく愛。そこから愛と美雪、たとえの関係は思いもよらぬ方向へ・・・。
<レビュー>情緒溢れる「ザ・青春」を描くが、木村愛役の山田杏奈さんが醸す官能さと、それを受け取る新藤美雪役の芋生悠さんの初々しさが”単なる青春ムービーではない”と、作品に深みを持たせる。それぞれのキャラクターの感情と行動、言動、出来事は割と「高校生あるある」と思ったので、嘘ぽくない。こんなにも正直で真っ直ぐに、他の価値観が邪魔をさせずに、自分が欲しいものを求める木村愛の姿には吸い込まれた。
『なっちゃんはまだ新宿』(17)で描かれる恋心も良かったが、本作は遥かにパワーアップした演出。「すき」という気持ちが、観客側へ強く、確実に伝わる。その届いた想いも、くどく無いもんだから、首藤凛監督の魅せ方は引き込まれる(すごかった)!!
「恋は盲目」な行動は俯瞰的に視ると、危うい。しかし、愛おしいものであるということが同時に感じ取れる映画。
作品名:『ひらいて』<PG-12>
公開日:2021年10月22日(金)
監督:首藤凜
出演:山田杏奈、作間龍斗(HiHi Jets/ジャニーズJr.)、芋生悠
板谷由夏、田中美佐子、萩原聖人、山本浩司、河井青葉、木下あかり
公開劇場:札幌シネマフロンティア ほか全国公開(一部地域除く)
配給:ショウゲート 映画公式サイト
©2012綿矢りさ/新潮社 ©2021「ひらいて」製作委員会
text / edit:yabu keisuke