2017年、第33回サンダンス映画祭(ショートフィルム部門)にて、監督・長久允(34)が日本映画初のグランプリを獲得、本年度のサンダンス映画祭からの招待を受け、ワールドプレミア上映をした結果、日本映画初となる審査員特別賞オリジナリティ賞を受賞。さらに2月に開催された第69回ベルリン国際映画祭にて、ジェネレーション14plus部門のオープニング作品として選出され、準グランプリにあたるスペシャル・メンション賞を日本映画で初めて受賞する快挙を果たした映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』(6月14日(金)より全国公開)。本作について、昨年国内にて社会現象を巻き起こした映画『カメラを止めるな!』の次にこれが社会現象を巻き起こすと推薦する漫才コンビ「浅草キッド」の水道橋博士と、サンダンス映画祭、ベルリン国際映画祭の海外映画祭でダブル受賞、またブエノスアイレス国際映画祭にて二宮慶多が日本人初最優秀男優賞を受賞し、まさに今世界中の映画祭から熱い注目を集め続ける長久允監督が登壇し、トークイベントが開催された。
『ウィーアーリトルゾンビーズ』あらすじ
両親が死んだ。悲しいはずなのに泣けなかった、4人の13歳。彼らはとびきりのバンドを組むと決めた。こころを取り戻すために—出会いは偶然だった。よく晴れたある日、火葬場で出会った4人。ヒカリ、イシ、タケムラ、イクコ。みんな、両親を亡くしたばかりだった。ヒカリの両親はバス事故で事故死、イシの親はガス爆発で焼死、タケムラの親は借金苦で自殺、イクコの親は変質者に殺された。 なのにこれっぽっちも泣けなかった。まるで感情がないゾンビみたいに。「つーか私たちゾンビだし、何やったっていいんだよね」 夢も未来も歩く気力もなくなった小さなゾンビたちはゴミ捨て場の片隅に集まって、バンドを結成する。その名も、“LITTLE ZOMBIES”。やがて社会現象になったバンドは、予想もしない運命に翻弄されていく。嵐のような日々を超えて、旅のエンディングで4人が見つけたものとは―
水道橋博士から開口一番「芸能界のリトルゾンビーズです」と笑いを誘うコメントから始まり「映画の中でリトルゾンビーズが歌う曲があるんですけど、作曲をしているのが、(オフィス北野の)江口ともみさんの甥っこがやっているLOVE SPREADというニューヨーク・ブルックリンのバンドで、不幸があり映画公開前に亡くなってしまって。彼の遺作が公開されるということで、それほど期待しないで観てみたら、まあ見事に心奪われて」と作品を知るに至った経緯を話した。また、長久監督の経歴にある青山学院大学から広告代理店に勤めていることについて「いけ好かない略歴ですよね(笑)。いかにもコネで撮っているみたいな。(笑)」といじり、早速軽快なトークを繰り広げた。
続いて長久監督が登壇すると、博士流おすすめポイントとして水道橋博士がなぜこの作品にこんなにも心を動かされているのかという理由に「少年少女の冒険譚て、ウケる層をある程度想像するじゃないですか。その想像をはるかに超えて、少年少女たちが感動する映画ではなく、血湧き肉躍る映画でもないのに、僕ら世代が(心を)持っていかれました」と作品を絶賛。長久監督は「映画の主人公たちは、僕が幼少期に経験したことを投影しているので、自然とテレビゲームがモチーフとして使われていたりしていますね。あと、テレビゲームを通して人生を見ることについていろいろ考えていたりしているのでそのことが映画に反映されていると思います」と子供時代に通ずる世界観が表現されていると話した。
そして水道橋博士は「ゲーム世界を描いた箱庭的な世界、ときくと縮小的に感じるんですが、映画らしいメッセージが乗っかていて。しかも手段として8bitのファミコンゲームみたいな懐古していますが、そこから飛び出す瞬間に、映画的な快感がすごくあるんですよね。」と語った。MCから映画の世界観が似ているということに水道橋博士は「主題歌自体が、電気グルーヴの「N.O.」のオマージュなんです」と明かし、監督も「(「N.O.」は)何も持っていないけど、それを否定することなく、平常心として肯定している歌だと思っていて、その気持ちって大事だなと思っているのでオマージュさせていただきました。」と主題歌への想いを語った。さらに話は劇中楽曲全体におよび「この映画はネオミュージカルだって言い方しているんです。120分の映画の中になんと90曲。凄い量じゃないですか!何ジャンル音が入っているんだっていう感じで、歌詞もどうやって思いついたんだろうっていう」と劇中に使われている曲の多さに驚く水道橋博士に対して長久監督は「もともと音楽が好きで、ミュージシャンになりたいなと思っていたんです。いろんな音楽が好きなので、それぞれの感情をそれぞれの音楽にのせて使わせていただいてます。」と述べた。
また長久監督は水道橋博士に映画を絶賛されたことに対して「この映画は自分の想いというか、こういう映画があるべきだとか、他の方の目とか、映画祭の評価とか気にせずに作った映画なので、それを絶賛していただくというのは驚きましたしすごく感謝しています」と述べ、救われた胸の内を明かした。
最後に締めの挨拶を求められた水道橋博士は「この映画は20年、30年後まで残る傑作だと思っているので令和1年の邦画の傑作が出たなという感じがするので、ぜひ口コミで広めてください。」と締めくくった。監督も続けて「好き嫌いがわかれるかもしれないんですけど、楽しんでいただければ嬉しいです。ぜひ感想が聞きたいので、観終わったらメッセージとかでもいいので送ってください。」と、映画への想いを語り、イベントを締めくくった。
2019年6月14日(金)より、全国公開!