【これからの座談会】vol.2 映画プロデューサーの仕事とは!?(ゲスト:小川真司×西ヶ谷寿一×汐田海平)

連載企画

映画を生かし続ける仕組み作り【Sustainable Cinema】の取り組みの一つとして、トミーズアーティストカンパニーのマネージャー宮田雅史さんと一緒に、映画に関わるお仕事をしている人たちにお話を聞く「これからの座談会」。第2回目はゲストに、ブリッジヘッドの小川真司さん、東京テアトルの西ヶ谷寿一さん、エイゾーラボの汐田海平さんの3名にお越しいただき、プロデューサーの仕事内容や、映画作りや映画を取り巻く環境の移り変わりなど、幅広くお話をしていただきました。

小川真司(おがわ・しんじ)
1963年生まれ。アスミック・エース入社後、ゲーム開発を経て、2000年、『リング 0~バースディ』で映画プロデューサーとしてデビュー。以降、『ピンポン』(02)、『ジョゼと虎と魚たち』(03)、『恋の門』(04)、『ハチミツとクローバー』(06)、『天然コケッコー』(07)『ノルウェイの森』(10)などを制作。12 年独立し、株式会社ブリッジヘッドを設立、『陽だまりの彼女』(13)、『味園ユニバース』(15)、『トイレのピエタ』(15)、『ピンクとグレー』(16)、『ナラタージュ』(17)、『リバーズ・エッジ』(18)、『パパはわるものチャンピオン』(18)、『ハナレイ・ベイ』(18)など。『浅田家(仮)』(20)の公開を控える。
西ヶ谷寿一(にしがや・としかず)
1970年、静岡県生まれ。03年に東京テアトルに入社。新人監督の発掘と育成を中心に邦画のプロデュースをはじめる。代表作は『人のセックスを笑うな』『南極料理人』『横道世之介』『私の男』『グッド・ストライプス』『ディストラクション・ベイビーズ』『ふきげんな過去』『素敵なダイナマイトスキャンダル』『旅のおわり世界のはじまり』など。
汐田海平(しおた・かいへい)
横浜国立大学にて映画評論を学んだ後、フリーランスとして映画、CM、PR映像の企画・制作・プロデュースを行う。2017年よりエイゾーラボ株式会社取締役。 CMプロデューサーとして活動する傍ら、インディーズ映画のプロデュースを行い、主要国際映画祭に正式出品される作品を製作。2016-2017年は、ぴあフィルムフェスティバルにて作品選考の審査員を務める。クラウドファンディングプラットフォームMOTIONGALLERYの運営するクリエイティブレーベル・MOTIONGALLERY STUDIOプロデューサー。主な作品に『5windows』(12)、『ほったまる日和』(14)、『終わらない風景』(15)、『飛べないコトリとメリーゴーランド』(15)、『蜃気楼の舟』(16)、『鳥取冬日和』(16)、『西北西』(18)などがある。

◆映画プロデューサーの仕事と映画作りについて

満席の会場に、小川さん、西ヶ谷さん、汐田さんの3人が登壇し、プロフィールと経歴の紹介からトークはスタートしました。本日の座談会のテーマは、実はあまり知られていない「映画プロデューサーの仕事」について。

ということで、まずは多岐にわたる映画プロデューサーのお仕事内容を、映画作りの過程に絡めながら詳しくお話いただきしました。

西ケ谷さん:監督は料理人で、お店をプランニングするのがプロデューサー。
小川さん
:とにかく決めることがプロデューサーの仕事。
汐田さん:どういう規模でやるか、どういうチームでやるかなどの作戦を組む。

映画づくりの過程

① 企画開発:ディベロップメント
② 撮影:プロダクション
③ 仕上げ:ポストプロダクション
④ 公開(宣伝配給):ディストリビューション

※映画プロデューサーの仕事は、上記4つの映画作りの過程全てに関わっている

◆映画ビジネスと映画を取り巻く環境の変化

続いて、自主製作映画と商業映画の違い、監督とプロデューサーの役割の違いなどについて、今までの経験や、わかりやすい具体例を交えながらお話いただきました。

そして、日本独自の映画作りのシステムでもある「製作委員会」や、普段あまり聞くことができない、協賛やお金集めなどの映画ビジネスの話題へ。

汐田さん:協賛、広告費、福利厚生費など、企業が映像に対して使うお金は増えている。
小川さん:海外や、他業種など、新たな出資先を開拓していくという方法もある。
西ヶ谷さん:ローバジェットの映画も海外配給の開拓が進んでいる。マーケットを広げる。

また、二次使用(パッケージ)や映画のマーケットなど、どんどん変化し続けている、映画を取り巻く環境についてのお話も。ここでは新たな気付きや発見もあり、トークはどんどん盛り上がっていきました。

トーク終盤では、映画プロデューサーと配給・興行の関わりについてもお話いただき、Sustainable Cinemaのテーマ「生まれた映画を生き続けさせる」ことへのヒントになりそうなワードもたくさん飛び交いました。

西ヶ谷さん:公開の仕方によって、愛される映画になるかどうかが決まる。そのためにも配給や興行の知識や、現状の把握が必要。
汐田さん:1つの映画がいくら稼いだかより、何人観たかの方が最終的には価値がある。
小川さん:映画の寿命は観られた人数に比例する。

新たな役者との出会い、オーディションやキャスティングについてのお話では、それぞれの視点やアンテナを張っているポイントについて知ることができ、改めてプロデューサーの視点の広さに驚かされました。

最後は参加者からの質問でお話が更に深まり、2時間近くの濃密なトークは和やかに幕を閉じました。

映画プロデューサーになるには
●映画製作をしている会社に所属する
●映画に出資する