「猫カフェ」を舞台に起こる小さな奇跡を描いた久保ユリカさん映画初主演の映画『猫カフェ』。プライベートでも6匹の猫を飼っていらっしゃるという沖田光監督に作品の魅力についてお聞きしました。
『猫カフェ』あらすじ
猫に囲まれながらお客様の相談に乗り、笑顔になってもらうという少し変わった場所があります。扉を開けると、陽だまりのような笑顔で悩みを聞いてくれる猫カフェ店主・桜木さくら(久保ユリカ)と、そっと寄り添ってくれる猫たちが、私たちを迎えてくれます。あら、今日もまた、新たな出会いがありそうです。Episode1 気になるあの子ひょんなことで猫カフェに通うようになったアイドルの並木志保。どこにも馴染めず、悩む志保に勇気をくれたのはブリティッシュショートヘア ぶりだった。Episode2 思い出を運ぶ猫津田沙世は母親の介護に明け暮れる日々。バラバラになってしまいそうな母と娘をつないでくれたのは、かつて父が大切にしていた猫だった。Episode3 ブルーの眼をした甘えん坊猫嫌いを直す為、猫カフェを訪れた小手川勇作。不器用な男・勇作を変えたのは、勇作とは正反対の甘え上手なラグドール こぐまだった。Episode4 さよならの向こう側みんなを見守り続ける店主さくらの意外な過去が明らかになる。さくらはついに自らの過去と向き合う決意をするが……。過去は変えることはできないけど、誰かと心を通わせることで明日の輝きを信じることができる。宝物のような出会いと時間がここにはある。さくらと猫たちがつむぐ、癒しのオムニバス4編。
−−ご自身でも猫を飼ってるんですか?
沖田光(以下、沖田) 1番長く飼っている子で3年ぐらいですね。猫を飼うのは初めてだったんですが、すっかりはまってしまいました。その後、ホラー映画で千葉の廃校に撮影に行った時に、そこに居着いている野良猫がいたんです。その猫はめちゃくちゃ可愛くて、出演者やスタッフの間のアイドルだったんですが、管理会社の人に聞いたら「保健所に引き取ってもらう予定」とか言ってたので、「じゃあ僕が育てます!」って言って、クランクアップの日にもらい受けてきました。それで、しばらく2匹で飼ってたんですが、「猫カフェ」の撮影直後に2匹の間に子猫が4匹産まれて、今では6匹になりました。なので、今は家の中が小規模な猫カフェみたいになってます。
−−ご自身で飼っていても猫カフェには行かれるものなのですか?
沖田 奥さんや娘さんがいてもアイドルグループの追っかけする人もいるじゃないですか。ああいう感覚に近いんですかね。そこは別腹というか(笑)。Wi-Fiあるし電源もあるので、ノートパソコン持って行って、脚本とか企画書書いたりする事もあります。疲れたら漫画もあるしゲームもあるから息抜きできますし、お店によってはベッドもあるから仮眠できるし。なにより可愛い猫がたくさんいるので癒されますね。他のお客さんも、みんな幸せそうな顔してます。
−−今回は24匹の猫と撮影ということでかなり大変だった思いますが
沖田 猫によって、言うこと聞いてくれる子もいれば、全然聞いてくれない子もいるので大変な事も多かったです。どうしても出来なくてあきらめたシーンもありますし。でも、何回か下見でお店に伺った際に、「この子はできるな…」っていう猫を何匹か見定める事ができたので、想像していたよりはスムーズに撮影できました。
−−猫と人だったらどちらが撮影するの大変ですか?
沖田 それはもう圧倒的に猫ですね!(笑 )。本当きまぐれなんで!犬とかならまだ言うこと聞いてくれると思うんですけど。テイク20とか30とか普通です。役者の皆さんは、猫に合わせて、毎回全力で演技しなければいけないので大変だったと思います。優しい出演者の方ばかりで助かりました。
−−撮影中に何か気を付けた点はありますか?
沖田 映画撮影のためとはいえ、猫に過度な負担はかけれないので、「こういうシーンが撮りたい」という時でも、その猫の機嫌が悪い日は、その日に撮影するのはあきらめて別の日に回したりしました。無理やりやってもいいテイクが撮れないですし。実際、別日に再度挑戦したら、最高の演技をしてくれました。
−−どのエピソードが1番思い入れがありますか?
沖田 それぞれ全然違うエピソードなので、全部好きだし思い入れはあるんですが、やはり4話目の久保さんのエピソードが1番印象的ですね。特に映画全体のクライマックスのシーンは、撮影初日に撮影するという、思いやりのないスケジュールだったんですが(汗)、久保さんが最高の演技をしてくれたので、あれでムードが決まったというか。「この作品いけそうだな」という感触が自分なりにつかめたので、特に思い入れがあります。
−−主演の久保ユリカさんは主に声優として活動されていらっしゃると思いますが、何か監督される上で違いはありましたか?
沖田 あまり違いはありませんでした。劇映画で声優さんとお仕事するのは久保さんが初めてなんですけど、CMとかTVの仕事する時に、ナレーションで大御所の声優さんに出演していただく機会は多いんですね。そういう大御所の方って、セリフはもちろん最高なんですけど、セリフを発するまでの間の表情がすごいんですよ。行間の芝居というか、自分のセリフが生まれるまでの感情の流れを緻密に作ってるからこそ、強いセリフを生み出せるんだと思うんです。久保さんも声の表現力はもちろん最高なんですが、本読みの時から表情がすごく良くて。無言で他の方のセリフを受けている時でも、表情やリアクションがすごく豊かで魅力的なんです。ですので、観ていただく方には是非そこを注目していただきたいです。
−−若い方も多い現場だと思いますが、現場ではどんな話をされていらっしゃいましたか?
沖田 僕は猫の話しかしてないですね。僕と、3話目の主人公・古手川役の池内万作さんは猫派で、実際猫を飼っているんですが、他の出演者の方は犬派が多くて。なので、犬派の人達をなんとか猫好きにしようと勧誘し続けた日々です(笑)。
−−最後に読者の方へメッセージをお願いします。
沖田 可愛い猫がたくさん出てくるので猫好きの方にはもちろん見ていただきたいですが、ベースはヒューマンドラマなので、猫がそんな好きじゃないと言う方でも楽しめると思います。ぜひ多くの方にご覧いただけたらと思います。
◯PROFILE
沖田光(おきた ひかる)
1975年10月27日生まれ、神奈川県出身。TV・CMディレクターを経て、2012年に監督デビュー。ホラー・ラブストーリー・青春ものなど幅広いジャンルの作品を手がける一方、フジテレビ『ザ・ノンフィクション』などのドキュメンタリー作品も手がけている。2018年5月に開催された秋葉原映画祭では『猫カフェ』『それ〜それがやってきたら…』の2作品が上映され、好評を博した。
『猫カフェ』
シネ・リーブル池袋ほか上映中!