斎藤工、永野、金子ノブアキ、清水康彦による映像制作プロジェクトチーム「チーム万力」の最新ショートフィルムが、6月8日(土)表参道スペースオーにて世界初上映となった。さらに、映画『MANRIKI』を SSFF & ASIA 2019のために再編集した特別作品と、最新自主制作ショートフィルム『DEATH BIKE』を上映。トークイベントには、齊藤工名義で企画・プロデュースをした斎藤工、原案・脚本の永野、劇中音楽を担当した金子ノブアキ、メインキャストのSWAY(DOBERMAN INFINITY)、清水康彦監督が登壇した。
『MANRIKI』あらすじ
日本。秩序と混沌の国。美と醜の国。過度な経済成長で得た豊かさの代償として、国⺠は様々なコンプレックスを抱えている。 醜きを覆い隠し、美しきことのように振る舞う。奥ゆかしさとも言えるその性は、この国の様式美そのものなのだ。 整形しているモデルの方が仕事が多い。駆け出しのファッションモデルが仕事欲しさに小顔矯正を決意。美容クリニックを営む美しき整顔師に小顔矯正施術を依頼し、モデルは変身を遂げる。整顔師の 猟奇的哲学と万力によって・・・。 ざる蕎⻨を食べたのち、整顔師はクリニックを去り、新たな野望の地へ向かう。場末の街で美人局をするフーテンと年増。彼らと整顔師が突如遭遇することにより、物語は加速してゆく。
ショートフィルム『DEATH BIKE』の上映後、独特な空気の中、斎藤、永野、SWAY、清水監督が登壇。まずは、1日で撮影を行ったという『DEATH BIKE』についての話を、前作からの変化に触れながら深めていった。途中、「飲み物に例えなくていいんですか?」と斎藤が聞き、永野が「以前は梅こぶ茶しか飲まないって言ってたんですけど、今はもうポカリとかアクエリアスを飲みたいです」と、会場を沸かせる一幕も。
そして、MCがSWAYにオファーが来た時のことを聞くと「セリフ一個も無いですし、台本だけじゃわからなかったんです。上裸でバイクにまたがってエンジンをふかしているという一行があったんで、取り敢えず体づくりからはじめようかなと(笑)」と、役作りについての話をし、「1日でこのクオリティで出来るんだ、ショートフィルムもっとやりたいですね」と、ショートフィルムが持つ魅力を伝えた。そんなSWAYの存在について、「高い所に導いてくれる存在。より愛しいキャラクターになって物語をリードしてくださった」と斎藤。続いて永野も「ポジティブな影響を与えてくれる。去年のメンバーには無かったキャラクター」と、魅力について語った。
その後、今回のために映画『MANRIKI』を再編集した、1つの特別短編作品を上映。
上映後のトークには斎藤、永野、SWAY、清水監督と共に、劇中音楽を担当した金子も登壇。こだわったレーザーのシーンや、永野による神野三鈴への演出指導シーンなど、映画『MANRIKI』のメイキングを観ながら、現場を回顧する5人の解説とともに楽しんだ。
観賞後、こだわったレーザーシーンの話になり、「今だと、子供も大人もCGで作ったやつってわかるじゃないですか。だからCGで作る意味って全然無いなって思っていて。それよりも自分たちが「うわ、すげっ」って現場でなるものをやった方が、観ている人たちも「うわっ」ってなるんじゃないかって」と清水監督は語る。
劇中音楽の話題になると金子は「1年前に製作発表をやらせてもらって、その時は何にも決まってなかった。僕は最後の方で合流したんですけど、全部で4年くらいかかっているんです」と、チーム万力の活動を振り返る。そして、一番楽しかったのは編集室に入れてくれて一緒に作業したことと伝え、「メールだと1週間くらいやり取りにかかってしまうことも、1~2時間で進んで行く」と、一緒にクリエイティブする面白味についても語った。今回はすごく自由な環境で作ることができたと全員が振り返ると共に、「トライアンドエラーして、大きく振ってどれだけ一緒に試してもらえるかみたいなところもあったんで、良い所に良いものがハマってると思います」と、金子は今作の劇伴に対する強い自身を覗かせた。
その後、原案の永野についての話題になり、斎藤は「テレビで観る永野さんは氷山の本当に本当に一角。その奥に広がる永野さんの世界観っていうのはものすごく映画的に見えて、遠い国で生まれたすごいマニアックな映画を観た時に、最初は距離を感じるんですけど、気が付くと他人事から我が事になる瞬間がある。そんなことが起こる可能性を持った日本映画が生まれるんじゃないかって、4年前から思っている」と、永野とチーム万力についての熱い想いを伝えた。
最後に、齊藤工監督の次回作、スネークショー的な表現を目指したという『COMPLY+-ANCE』のティザー映像が上映された。齊藤と清水監督が再び登場し、自分の携帯の中の画像からはじまったという本作が作られた経緯や、映画は今のそれぞれの世界の情勢を伝える報告会みたいなものと話した。齊藤は「淵を描く事によって、今の日本の報道放送上映っていう倫理観のフォルムができあがるんじゃないかなっていう作品を作り上げました」と、本作に対するハッキリとした想いを述べ、今回のイベントは幕を閉じた。
2019年11月29日
シネマート新宿ほか全国順次公開