妄想好きの女子高生・花依が、ある日突然激ヤセして超絶美人になり、4人のイケメンたちからモテまくる…という内容のラブコメ映画『私がモテてどうすんだ』。累計発行部数300万部突破のぢゅん子による超人気コミックの映画化で、7月10日(金)より公開となります。今回は、主人公・花依の親友でヲタク仲間のあまねを演じた上原実矩さんに、現場でのエピソードなどを皮切りに、数々の役柄を演じることによって気付いたことや、役者業とモデル業に通づることなど、幅広くお話をお聞きしました。
『私がモテてどうすんだ』あらすじ
自分の恋よりもイケメン同士が恋する妄想に夢中な花依(富田望生)は、大好きなアニメキャラが死んだショックで1週間も寝込んでしまったら…なんと激ヤセして、超絶美少女(山口乃々華)に!そんな花依を好きになってしまう同じ学校のイケメンたち――六見先輩(吉野北人)、五十嵐くん(神尾楓珠)、七島くん(伊藤あさひ)、四ノ宮くん(奥野壮)。恋愛興味ナシなのにモテまくる花依だが、ついつい彼らをBL目線で見て妄想してしまい…。「イケメン同士のカップリングが好きなのに、私がモテてどうすんだ~!」悩む花依が出す、想定外の答えとは?!
ラブストーリーに寄ってしまいがちなところを、
「ラブコメだぞ」って引き戻すような役割
––役者さんたちの思いきりのよい芝居に目を奪われ、面白く拝見させていただきました。『私がモテてどうすんだ』(以下、『私モテ』)の現場の様子はいかがでしたか?
上原実矩(以下、上原) 富田望生ちゃんも(山口)乃々華ちゃんも、もともと面識がありましたし、同世代が集まっている馴染みやすい現場でした。あと、神尾楓珠くんとは昨年の夏にYouTubeドラマの「主人公」(19)という作品でもご一緒していて、『私モテ』が秋撮影だったので連続でしたね。
––現場の楽しそうな空気が、作品にも滲み出ているなと感じました。
上原 平沼(紀久)監督も、5年前くらいに役者として現場でご一緒したことがあり、メイク部や衣装部の方も以前ご一緒した方が多かったので、アットホームな感じもありました。あと、望生ちゃんとはずっと一緒に芝居をしたかったので嬉しかったんですけど、今回は抱き合って2人でずっと発狂していたという印象しかないので、また違う作品でもご一緒できたらと思っています(笑)。
––演じられた「あまね」という役は、花依の親友でヲタク仲間ということで、脚本を読んで、どんな部分から役のポイントを見つけていきましたか?
上原 わりと王道な青春ラブストーリーのシーンもあったので、そこにいかにコメディ要素を入れていけるか、というようなことを監督とお話していました。あまねは、ラブストーリーに寄ってしまいがちなところを、「ラブコメだぞ」って引き戻すような役割だと(笑)。
––大事な役割ですね(笑)。普段から役について監督とよくお話をされるのでしょうか?
上原 すごく細かい所までは話さないですけど、ざっくりとした人物像とかは聞いて、役について詰めていくことが多いです。役の中で辻褄が合うように、わからないところは自分から聞きに行くようにしていますね。『私モテ』の時も、ホン読みの時にあまねが目指すポイントについての話をしました。
––なるほど。モテて戸惑う花依に部屋でアドバイスするシーンのやり取りも、接し方や言葉のチョイスにあまねらしさが出ているなと思いました。
上原 望生ちゃんも乃々華ちゃんも雰囲気が似ていて、2人とも守ってあげたくなる要素があったので、見守ってしまうというか、お世話してあげたくなっちゃうんですよ(笑)。だからアドバイスするシーンでは、その感覚がそのまま出ればいいなと思っていました。
––『私モテ』は、コメディ要素とキュン要素のバランスが絶妙でしたが、芝居でこだわったところはありますか?
上原 現場では、コメディの難しさをひしひしと感じて落ち込んでいる日とかもありました(笑)。言い方1つで伝わり方が変わるような言い回しのセリフもあったので、自分の中ではあまりごてごてのコメディ感を出したくはなかったんです。
ザ・コントみたいな感じになりそうなところをできるだけ自然に、自分たちが生活する延長線上でふざけあっている感じを出したかったので、そこのラインが難しいなと日々現場で感じていました。
衣装を着ることによって役が掴めたり、
スイッチが入ったりすることがあります
––上原さんは、今までも明るい役から陰のある役まで幅広い役を演じていますが、いろんな役を演じることによって、今まで知らなかった自分の新たな一面に気付くような経験はありましたか?
上原 お仕事を始めた頃はあまり目立つタイプではなく、お芝居をしていてもこもってしまうというか、ボソボソ喋る感じだったんです。でも、「放課後グルーヴ」(13)というドラマでは、よく喋るはっちゃけた役を演じたり、『ガールズ・ステップ』(15)ではヤンキーの役を演じたりして…。もともと自分の中にもそういう一面もあったとは思うんですけど、お芝居で“出せる”とは思っていなかったので、そこはちょっとした発見でしたね。
現場でコミュニケーションをとって芝居を作っていくという経験をしてからは、“自分にこういう一面があった”というよりは、いろんな物事をいろんな視点から見れるようになったと感じることはあります。
––素敵ですね。いろんな人生を演じる役者さんだからこそ感じることができる部分というか。
上原 以前よりいろんな視点から物事を見れるようになったなとは感じています(笑)。今でもひとつのことに走ってしまいがちなんですけど、小学校の頃はもっと激しかったので、(いろんな役を演じることで)救われた部分はありますね。実生活でも、違う考え方や思考を発見して、角度を変えて捉えることで、心の平穏が保たれるときもあるというか(笑)。
––ミュージックビデオの出演やモデルのお仕事もされていますが、セリフのあるお芝居と無いお芝居の違いや、その面白さについてもお聞きしたいです。
上原 私、セリフを覚えるのが苦手なんですよ(笑)。なので、ある程度設定が決められているエチュードみたいな方が好きです。
––SHISHAMOの3部作(「君と夏フェス」「さよならの季節」「君とゲレンデ」)もエチュードなのでしょうか?
上原 ほぼエチュードですね。「君と夏フェス」が初めて出演したミュージックビデオで、恋する乙女という役だったので、どうせ決まんないだろうな…という感じでオーディションに行ったんですけど、そこが良かったようで(笑)。その後、SHISHAMOさんの武道館ライブの演出にも参加させてもらい、生でお芝居もさせていただきました。
––あの初々しさが曲にあっていてすごく良かったです(笑)。モデルのお仕事ではいかがですか?
上原 モデルはモデルの仕事で楽しいです。抜群にスタイルがいいというわけではないので、洋服をキレイに見せるという部分では難しいところもありますが、感情で動きを出すことができるという部分では、お芝居をやっていてよかったなと思っています。
モデルのお仕事をする前は宣材写真しか撮ったことが無かったんですけど、宣材写真って、結局自分自身じゃないですか。自分ってよくわからないな…って思っていたので、宣材写真の撮影はすごく苦手だったんですけど、動いてもよしとしてくれる写真のお仕事は、映像とあまり変わらないんですよね。メイクと洋服が決まっている状態から、いろいろ構築していくことが面白くて。映像のお芝居でも、衣装を着ることによって役が掴めたり、スイッチが入ったりすることがありますし、「この役は、こういう服を着てるよね」というように、役への理解が深まることもあります。
––他にやってみたいお仕事のジャンルはありますか?
上原 舞台やアクションはやってみたいです。たまに「どんな役をやりたいですか?」って聞かれることがあるんですけど、役というよりも、どんな設定や世界観の作品に参加したいか、という方が強いですね。
––では、今後どんな設定の作品に出演してみたいですか?
上原 最近は、三人兄弟とか四人姉妹のお話の小説を読んでいたことや、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(20)を観に行ったこともあって、人数のいるきょうだいのお話に興味があります。その中でどういう役がやりたい、というのは無いんですけど。若いうちにいろいろやってみたいです。
––これからもいろんな作品で上原さんのお芝居が見れることを楽しみにしています。本日はありがとう御座いました。
○profile
上原実矩(うえはら・みく)
1998年生まれ。2010年、映画『君に届け』で女優デビュー。数々の映画やドラマ、CMやミュージックビデオなどで活躍中。主な出演作品に『大人ドロップ』、『暗殺教室』、『ガールズ・ステップ』、『来る』などがある。その他、雑誌『NYLON JAPAN』やモード系ファッション誌を中心にモデルとしても活躍中。
映画『私がモテてどうすんだ』
7月10日(金)全国ロードショー
出演
吉野北人 神尾楓珠 山口乃々華(E-girls) 富田望生 伊藤あさひ 奥野壮(男劇団 青山表参道X)
上原実矩 坂口涼太郎 水島麻理奈 ざわちん 中山咲月
優希美青 宮崎秋人 戸田菜穂
原作:ぢゅん子「私がモテてどうすんだ」(講談社「別冊フレンド」刊)
監督:平沼紀久
脚本:吉川菜美 / 福田晶平 渡辺啓 上條大輔 平沼紀久
主題歌: Girls² 「私がモテてどうすんだ」(Sony Music Labels Inc.)
企画・配給:松竹
©2020『私がモテてどうすんだ』製作委員会 ©ぢゅん子/講談社