[インタビュー]『魔女見習いをさがして』 森川葵×松井玲奈×百田夏菜子

インタビュー

1999年より朝日放送・テレビ朝日系列で4年間放送された「おジャ魔女どれみ」シリーズ。世代別では女児の9割が視聴していたほど圧倒的な人気を誇っていたシリーズオリジナルスタッフの佐藤順一監督や脚本の栗山緑、総作画監督の馬越嘉彦らが再集結し20周年記念完全新作映画として帰ってきた『魔女見習いをさがして』。大人のための新たな魔法の物語となっている本作の魅力について、ソラを演じた森川葵さん、ミレを演じた松井玲奈さん、レイカを演じた百田夏菜子さんにお聞きしました。

『魔女見習いをさがして』あらすじ
「ねえ、大きくなったら何になりたい?」教員志望でありながらも、自信をなくして進路に戸惑う大学生・長瀬ソラ―名古屋。望んだ仕事についたものの、職場になじめず葛藤する帰国子女の会社員・吉月ミレ―東京。夢に向けて進学費用を貯めるも、ダメ彼氏に振り回されるフリーター・川谷レイカ―尾道。年齢も性格も住んでいる場所も…なにもかもが違う三人。しかも、それぞれ思い描く未来が見えず、人生に絶賛迷い中!そんな彼女たちを引き合わせたのは“おジャ魔女どれみ”!?かつて魔女見習いたちが集っていたMAHO堂―鎌倉にある洋館での運命的な出会いをきっかけに、三人は飛騨高山・京都・奈良と「おジャ魔女どれみ」ゆかりの地を巡る旅へ!笑って泣いて支え合って、かけがえのない時間を過ごした三人は改めて気づく、いつもどれみたちがそばにいてくれたことに。そして魔女見習いたちに背中を押され、踏み出した先に、素敵な世界が広がっていた―

物語もセリフも共感の連続でした(百田)

–本作のお話しをいただいた時はいかがでしたか。
森川葵(以下、森川) 純粋に「おジャ魔女どれみ」のファンでしたので、本作のお話をいただく前から絶対に観にいこうと思っていました。お話しをいただいた時は、すごく嬉しかったです。同時に、声優じゃないけど演じさせていただいていいのかな、など色んな思いが複雑に絡み合って簡単に自分の中で整理がつけられなかったです。
松井玲奈(以下、松井) 私自身、小さい頃からテレビや映画で「おジャ魔女どれみ」を見てきた世代なので、登場人物の一人として参加できるなんて……。本当に嬉しかったです!自分自身のおジャ魔女に対する子どもの頃の思い出や大人になったからこそ感じる思いを大事にして、臨もうと思いました。
百田夏菜子(以下、百田) 20周年の映画をやるという予告映像が出ていて、友だちと一緒に観に行こうと話していたので、自分が作品に関わらせていただけることになって嬉しくてびっくり仰天でした(笑)。どういう形で関わるんだろうと思っていたら、物語が「おジャ魔女どれみ」を見ていた女の子たちが主人公で。現実の私たちと重なることが多く、台本を読んで物語もセリフも共感の連続でした。

おジャ魔女たちの魔法が大人になってもそばにいるように感じられました(森川)

—ホンを読まれてどう感じられましたか。
森川 物語は、子どもの頃に「おジャ魔女どれみ」を見ていた3人の登場人物たちが大人になり、それぞれの悩みを抱えながらMAHO堂を訪れ偶然出会い……。大人になると悩みは尽きないと思うんです。おジャ魔女は、みんなの悩みを解決してくれて笑顔にしてくれる。そんなおジャ魔女たちの魔法が大人になってもそばにいるように感じられる作品で。子どもの頃の思い出としてだけでなく、今もおジャ魔女たちはいなくならず大人になっていく私たちのそばにいてくれる、笑顔にしてくれる存在なんだなと胸が熱くなりました。
松井 心に突き刺さりました。読んでいて涙が溢れてきて。「おジャ魔女どれみ」を見てきた世代の私たちが20年経って、大人になって今抱えている、心にある思いを丁寧に描写してくださっているホンだなと感じました。おジャ魔女の登場の仕方もグッときて……。ハンカチ必須です!(笑)。
百田 SNSやメッセージアプリのスタンプでおジャ魔女が登場してくるシーンでは、今の時代にあった描かれ方だなと感じました。登場人物たちに共感できる部分がたくさんありましたし、おジャ魔女が出てくるシーンでは見ていた当時の気持ちを思い出したり……。観た人を元気にしてくれる魔法のような作品だなと思いながら読んでいました。

これまで私自身の経験してきたことに共鳴する部分がありました(松井)

—役柄について、どのように感じ臨まれましたか。
森川 ソラちゃんは、学校の先生になりたいと教育実習に行くんですけど、うまく子どもと接することができなくて悩み、MAHO堂を訪れるんです。最初は自信がない子なのかなと思っていたんですが、アフレコしていくうちに勇気を出せないだけなんだなと感じるようになって。やりたいことや信念はあるんですが、勇気がなくて自分から踏み出せない子なんだなと思いながら演じました。
松井 ミレさんは帰国子女でバリバリ仕事が出来て、見た目からも滲み出るできる女の人。周りから見たら強いしっかりした女性として見られる中で、自分の生きてきた道のりにコンプレックスを抱えていたり、海外とは違う文化の違いに苦しんでいたり。自分の信念や考え方を大事にして進んできたことが彼女の強みでもあるんですが……。おジャ魔女を通じて、ソラとレイカと出会うことによってそんな彼女が自身を見直し、変わっていく。伝え方を考えたり、人の痛みを知っていくということは、私自身これまで経験してきたことに共鳴する部分もあり、アフレコしていく中でミレという人物をより好きになっていきました。
百田 レイカは明るくまっすぐで前向きな人物だけど、実は複雑な過去を背負っていて。きっと普段は過去に対する気持ちを出さないように日々生きているんですが、ソラやミレの前でふとした瞬間にそういった感情が湧き出てくることがあるんです。それを客観的に見て、自分の気持ちを言える友だちに出会えてよかったね、と思いました。ダメンズに引っかかるところは「絶対やめた方がいい、そんな男の人!」と突っ込みたくなりました(笑)。

–本作を観る方にメッセージをお願いいたします。
森川 好きなものが一緒の人同士って仲良くなりやすいと思うんです。本作の3人も「おジャ魔女どれみ」を通じて知り合い仲良くなりましたし、私自身もファッションが好きなのでその話をしていると初対面の方でも打ち解けられたりします。なので、「おジャ魔女どれみ」を知らない方でも好きなものがある方は感情移入することができる作品だと思います。
松井 私が子どもの頃、「おジャ魔女どれみ」を見ていて、本当に魔法があって魔女もいると信じていました。大人になって、現実ばかりに追われてそんな純粋な思いを忘れてしまっていたり、変に凝り固まって悩んでしまうことがあると思うんです。本作は、そういった純粋な思いを思い出させてくれて、勇気を与えてくれる作品になっています。大人になった私たちだからこそ、感じる部分があると思いますので、大きなスクリーンと高音質で本作を全身で感じてくださると嬉しいです。
百田 目の前の日々に一生懸命頑張っている方たちにぜひ観ていただきたいです。自分自身を見つめ直せる作品だと思いますし、ソラやミレ、レイカの成長やおジャ魔女たちを通して、皆さんに元気になってくだされば嬉しいです!

◯Profile
森川葵(もりかわ あおい)
1995年6月17日生まれ。愛知県出身。2010年芸能界デビュー。以降、女優として映画、TVドラマを中心に話題作への出演が目覚ましい。近年の出演作に、『花戦さ』『恋と嘘』『先生!、、、好きになってもいいですか?』(17)、『嘘八百』『リバーズ・エッジ』『OVER DRIVE』(18)、『映画 賭ケグルイ』『耳を腐らせるほどの愛』(19)などがあり、2020年は『嘘八百 京町ロワイヤル』(1月)、『リトル・サブカル・ウォーズ~ヴィレヴァンの逆襲~』(10月)に出演。映画『天外者』(12月11日)公開予定。舞台『マシーン日記』2月東京公演、3月京都公演予定。

松井玲奈(まつい れな)
1991年7月27日生まれ。愛知県出身。本年4月より放送のNHK連続テレビ小説『エール』にヒロインの姉役として出演。役者として活躍する一方で、小説家としても昨年4月に短編小説集『カモフラージュ』を出版。近年の代表作は、ドラマ「海月姫」「ブラックスキャンダル」(18)「まんぷく」(18〜19)、映画『今日も嫌がらせ弁当』(19)、村上春樹原作舞台「神の子どもたちはみな踊る」(19)など。東京2020オリンピック聖火ランナーも務める。

百田夏菜子(ももいろクローバーZ)(ももた かなこ)
1994年7月12日生まれ。静岡県出身。女性アイドルグループももいろクローバーZのリーダーとして活躍。映画には声優での出演が目覚ましい。主題歌を担当した『ドラゴンボールZ 復活のF』(15/声での出演)を皮切りに、『映画かいけつゾロリ ZZのひみつ』(17/声での出演)、『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 〜拉麺大乱〜』(18/声での出演)がある。昨年は『映画しまじろう しまじろうとうるるのヒーローランド』(3月/声での出演)、『最高の人生の見つけ方』(10月)に出演。

『魔女見習いをさがして』

全国公開中

声の出演:森川葵 松井玲奈 百田夏菜子
千葉千恵巳 秋谷智子 松岡由貴 宍戸留美 宮原永海
石田彰 浜野謙太 三浦翔平
原作:東堂いづみ 監督:佐藤順一 鎌谷悠 脚本:栗山緑 音楽:奥慶一
キャラクターデザイン・総作画監督:馬越嘉彦
アニメーション制作:東映アニメーション

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