[インタビュー] 『アンダー・ユア・ベッド』高良健吾 ※web限定公開質問あり

インタビュー

愛する女性への狂気の愛を描いた映画『アンダー・ユア・ベッド』。幼い頃から存在を無視され、忘れられてきた主人公・三井直人を演じた高良健吾さんに、役との向き合い方や演じていく中での変化、今作の魅力についてお聞きしました。

『アンダー・ユア・ベッド』あらすじ
雨の日の無人のエレベーター。誰かの香水の香りが残っている。俺は思い出す。この香り……11年前、たった一度だけ名前を呼んでくれた佐々木千尋のことを。親からも学校のクラスメイトからも誰からも名前すら憶えられたことのないこの俺を「三井くん」と呼んでくれた時のこと。俺は人生で唯一幸せだったあの感覚にもう一度触れたいと思い、彼女を探し出すことにした。家庭を持った彼女の家の近所に引っ越し鑑賞魚店を開店し、自宅に侵入、監視、盗撮、盗聴、彼女の近くで全てを覗き見ていたいと思った。だが、俺の目に映ったのは、全く別人に変わり果てた姿だったのだが……

純粋と狂気はある意味、似ている

––今作について、はじめはどのような印象を受けましたか。

高良健吾(以下、高良) 一言で言うと「痛いな」という印象でした。周りから忘れ去られてきた人物をどう演じればいいのだろうと感じましたし、難しそうだなと。

––孤独な男、三井直人という人物にどう向き合われたんですか。

高良 お芝居を始めた17歳から23歳の頃によく演じた役のテイストに三井は似ていると感じて。あの頃は、自分の内面と距離感が近すぎて演じる際に悩むことがあったのですが、年を重ねた今の僕自身で向き合いました。純粋と狂気はある意味、似ていると思うんです。三井が狭い半径で他者を介さず自己完結していく様はどちらとも言える。だからこそ、僕は彼に成りきることを意識せず、役としてその場に「居る」ということを意識して演じるようにしました。

––三井に対して理解できる部分はありましたか?

高良 共感と理解は別物だと思っていますが、三井に対して理解はできます。結構多くの人が理解できると感じますし、一歩間違えれば作中のようになってしまう出来事もたくさんあると思います。罪を犯してしまっても悪ではないと感じることもあれば、罪は犯していなくても、これは少し……と感じることもあるので。

––ナレーションで心掛けたことはありますか?

高良 ナレーションは毎回あまり立てすぎないように心掛けているので、今回も、声のトーンや情報量などを意識しました。そして、ナレーションが必要以上に存在感を持ってしまわないように、芝居や映像で表現できる部分は省こうと監督と話をしました。

––安里監督とはどのようなお話をされましたか?

高良 安里監督とはお互いストレートに意見をぶつけ合えました。はじめに演出を聞いてしまうと、その演出を意識してしまうので、まずは自分が準備してきたものを一度やって見せた方がよいと思っていて。安里監督とはそのやり取りがすごく面白かったですし、本当に寄り添ってくださる方だったので、すごく助けられました。

描写はキツいので、覚悟はいるかもしれないです

––共演された西川可奈子さんの印象を教えてください。

高良 こういう役って熱演になりがちですが、西川さん自身と、演じた千尋という役との間に、いい意味で一枚フィルターがある感じがしました。

––「ハイテンション・ムービー・プロジェクト」という企画についてはどう思いましたか?

高良 面白いですよね。最近は、尖がった作品に結構お客さんが入っている気がします。『アンダー・ユア・ベッド』が情報解禁されてからも、周りの友達に「あれ面白そうだね」と言われることが多くて驚きました。これまで言われたことがないくらいの反応があったので、刺激を求めている人が多いのかもと思いました。

––本作を観る方へメッセージをお願いします。

高良 楽しませ、感動させてくれる作品が必要なように、僕が10代20代前半の頃に演じていた、過激だったりある意味傷つけてしまう作品も必要だと思っています。普通だったら観たくないし、聴きたくないし、感じたくもないし……。だからこそ、そこから何かが伝わる、考えるきっかけになることもあると思うので。僕は『アンダー・ユア・ベッド』はそういう作品だと思っています。描写はキツいので、覚悟はいるかもしれないです。

––30代を迎え、今作を通して新たに見えてきたことはありましたか?

……続きは、紙面で!(WEBと紙面では掲載内容が異なります)

(写真・うららな麗那 文・矢部紗耶香)
◯PROFILE
高良健吾(こうら・けんご)
1987年生まれ、熊本県出身。2005年ドラマ「ごくせん」でデビュー後、2006年『ハリヨの夏』にてスクリーンデビュー。『軽蔑』(12)で日本アカデミー賞新人俳優賞、高崎映画祭主演男優賞受賞。『苦役列車』(13)で日本アカデミー賞優秀助演男優賞、『横道世之介』(14)でブルーリボン賞主演男優賞を受賞。日本を代表する実力派映画俳優の一人。その他の主な出演作に、『ふきげんな過去』『シン・ゴジラ』『うつくしいひと サバ?』(16)、『彼女の人生は間違いじゃない』『月と雷』(17) 、『万引き家族』『止められるか俺たちを』(18)、『多十郎殉愛記』(19)、さらに今年『人間失格』『葬式の名人』『カツベン!』など話題作の公開を控える。

『アンダー・ユア・ベッド』

7月19日(金)テアトル新宿ほか全国順次ロードショー

2019 映画 「 アンダー・ユア・ベッド 」製作委員会

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