[レポート]高橋一生、蒼井優との芝居は「ジャグリング」。体温を感じるエピソードが語られた映画『ロマンスドール』完成披露舞台挨拶

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「恋愛・結婚」における永遠の問いをテーマに、現代夫婦のかたちを描いたタナダユキさんの小説「ロマンスドール」。原作者であるタナダユキさん自らが脚本・監督をつとめた映画『ロマンスドール』が2020年1月24日(金)に全国公開となる。2019年12月18日(水)、東京・新宿バルト9にて完成披露舞台挨拶が行われ、高橋一生さん、蒼井優さん、三浦透子さん、きたろうさん、タナダユキ監督が登壇した。

ロマンスドール』あらすじ
一目惚れをして結婚した園子(蒼井優)と幸せな日常を送りながら、ラブドール職人であることを隠し続けている哲雄(高橋一生)。仕事にのめりこむうちに家庭を顧みなくなった哲雄は、恋焦がれて夫婦になったはずの園子と次第にセックスレスになっていく。いよいよ夫婦の危機が訪れそうになった時、園子は胸の中に抱えていた秘密を打ち明ける……。
10年の、嘘と秘密と、ほんとの愛。
変わりゆく男女の感情をリアルに映し出す、美しく儚い、大人のラブストーリー。

主題歌のnever young beachの「やさしいままで」が流れる中、お客さんのあたたかい拍手と歓声と共に5人が登壇。まずは一言ずつ挨拶を行い、穏やかな空気の中、舞台挨拶がスタート。

本作で夫婦役を演じている高橋さんと蒼井さんは、『リリィ・シュシュのすべて』(01)以来、19年振りの共演となる。MCの伊藤さとりさんが、久し振りの共演についておふたりに尋ねると、高橋さんは「またご一緒したかったので嬉しかったです。その時蒼井さんは14歳とかで、現場での遊び方が違ったんです」と当時のことを思い出しながら話す。カエルをつかまえて遊んでいたという蒼井さんは「初めての(映画の)現場だったので、地元の知り合いみたいな感覚になっていて、勝手に親近感を持っています」と振り返りながら語る。

「優ちゃん」「一生さん」と呼び合う旧知の仲のふたり。
関係は違えど、まるで『ロマンスドール』の「哲ちゃん」と「園子」のような空気感。

続いて、お互いのお芝居について伊藤さんが尋ねると、高橋さんは「会話はキャッチボールと言われることがあるんですけど、蒼井さんとのお芝居はジャグリングのようなんです。言葉だけではない、目線だけのボールだったりとか…」と話し始めると、きたろうさんが「エッチしているときはどうなの?」と斬り込む。そしてそのまま、「きれいだったよね。お互い恥ずかしそうにしてるのがリアルだった」とラブシーンや、ふたりが恋に落ちる瞬間の感想を述べ出すきたろうさん。

きたろうさんの斬り込みにより会場が盛り上がる中、伊藤さんは、蒼井さんにも高橋さんとの芝居について尋ねた。

蒼井さんは「心でお芝居されて、技術でもっていくという両刀の方なので、無敵って思いました。ご自身の状態がどうであっても、理想とされているところに確実に辿り着かれるので、私は一生さんのセリフを素直に聞いて、素直に返すことだけをしていました」と、共演して感じた高橋さんの芝居の魅力について答えた。

そんなおふたりの言葉を聞いたあと、タナダ監督は「撮っていて毎日楽しかったです。いつもふたりは自分の想像を超えてくれる」と、改めて感じた高橋さんと蒼井さんへの信頼感を伝えた。

続いて、撮影現場での話題になると、「初めて会うのは、一生さんときたろうさんとのシーンだったんですけど、ふたりがずーっといちゃいちゃしていて、微笑ましかった」と話す蒼井さん。その話を聞く高橋さんときたろうさんの表情や反応からも、現場の空気のあたたかさが伝わってくる。

その他、三浦さんのオーディションでのお話や三浦さんと高橋さんのカラオケシーンでのエピソード、きたろうさんが感じた高橋さんとの共演についてなどが語られ、会場はますます盛り上がりを増していった。

そして今回、ご自身で書かれた小説を映像化されたタナダ監督。伊藤さんがどのような部分を大事に映像化していったのかと尋ねると、タナダ監督は「小説と映画は違うので、(原作を)読み返さないようにして、映画として作り上げていきました。キャストやスタッフの皆さんが本当にいろんなアイディアを出してくれたおかげで、自分が思っていたものよりも豊かなものになった」と、全員で作り上げた本作への愛を語った。

フォトセッションのあと、タナダ監督、蒼井さん、高橋さんより一言ずつ挨拶があり、タナダ監督は「どの俳優部さんも素晴らしいので、肩の力を抜いて隅々まで観ていただければと思います」と伝え、蒼井さんは「本当に素敵な映画ができてうれしいです。ご覧になった方に寄り添える映画になったなと自負しております」と作品への想いを語った。

そして、最後に高橋さんが「この作品は失ってしまったものに対して、どう折り合いをつけるかというのが命題になっていると思います。自分の人生と照らし合わせていただいて、なんとなく進んでみるか、と思える力になれるような作品になればいいなと思っております」と作品の魅力を届け、あたたかな空気の中、『ロマンスドール』の完成披露舞台挨拶は幕を閉じた。

高橋一生 蒼井優
浜野謙太 三浦透子 大倉孝ニ ピエール瀧
渡辺えり きたろう
脚本・監督:タナダユキ
原作:タナダユキ「ロマンスドール」(角川文庫刊)
配給:KADOKAWA
映画公式サイト:romancedoll.jp
©2019「ロマンスドール」製作委員会
photo:Natsuko Okanobu
text:Sayaka Yabe