宇賀那健一監督最新作『転がるビー玉』撮影現場に潜入レポート&インタビュー

インタビュー

シネモーションでコラムの連載をしている宇賀那健一監督の新作映画『転がるビー玉』。7月上旬より都内某所で撮影が行われ、シネモーション編集部は現場取材に伺い、宇賀那監督に撮影中に感じた想いなどの話をお聞きしました。

映画『転がるビー玉』は、女性ファッション誌「NYLON JAPAN」創刊15周年プロジェクトとして製作され、2019年度に劇場公開予定の作品です。渋谷で共同生活をしながら夢を追い求める女性3人の、ささやかな日常を描いたお話で、メインキャストは、吉川愛さん、萩原みのりさん、今泉佑唯さんの3名。そして先日、笠松将さん、大下ヒロトさん、神尾楓珠さんという注目の若手俳優たちの出演も発表されました。


『転がるビー玉』あらすじ
再開発が進む、渋谷。その片隅にある古い家の床は少し傾いている。ここで共同生活する愛、瑞穂、恵梨香の三人は夢を追い求めながら、悩み、もがき、飲んで、愚痴って、笑っては、泣いた。彼女たちが手にいれたのは、〈宝石〉なんて眩しいものではなくて、どこかで紛れ込んだ一つの欠けた〈ビー玉〉だった。そんなある日、部屋の立ち退き勧告の通達が来る。街の再開発で家の取壊しが決定したのだ。これは、いずれ出て行かなくてはならないその部屋で三人が過ごした、ささやかな日常の物語。絶え間なく変化するこの街で埋もれてしまいがちな幸せは確かにそこにあった。

––現場の様子はいかがですか?

宇賀那健一監督(以下、宇賀那) 日数でいうと半分くらい撮り終えているのですが、すごく良い化学反応が生まれています。

––若い世代の役者さんたちが揃っていますが、現場で刺激を受ける部分はありますか?

宇賀那 楽しいシーンが、“本当に楽しく”できるんですよね。悪い意味ではないんですけど、僕ら世代になるとどこか影が落ちてしまうところがあるので…。本当に楽しくできるというのは、僕も狙っては描けない部分だし、彼女たちの存在そのものによって表現されています。そういう部分は、すごく刺激を受けていますね。

––その感覚というのは、もともと宇賀那監督ご自身の中にもあった感覚でしょうか?

宇賀那 そうですね。だからすごく懐かしい感覚です(笑)。3人の家でのシーンは特にそうなんですけど、即興の芝居を生かしているシーンも多いです。そういう瞬間がこの作品にはすごく生きてくるんじゃないかなって思っています。

––“今しかない瞬間”の大切さってありますよね。

宇賀那 期間限定の家の暮らしと、期間限定の若さゆえの3人というところが、うまく作品とマッチしているように思います。あと、芝居の質や、1つの物事に対してのものの見方も3人とも全然違っていて、それが本当に様々なところで表れるので、撮影していてすごく面白いです。

––瑞穂役の萩原みのりさんは大規模オーディションでの抜擢でしたが、オーディションではどのような印象がありましたか?

宇賀那 周りを見て聞く、という能力がすごく高かった印象がありました。あとは、その上で“捨てる強さがある”というところも魅力的で、敢えて何もしないで居るシーンでも、滲み出てくるものをちゃんと表現できているところは、本当にすごいなと思いました。

––実際に現場でご一緒していく中で、新たな気付きもありましたか?

宇賀那 他の人とキャッチボールする能力がすごく高いというところは、改めて感じましたね。周りが変わると彼女も変わるので、そのシーンを見ているのが面白いです。


取材に伺ったのは、纏わりつくような小雨が舞う、7月にしてはやや肌寒い日の午後。とあるマンションの一室で撮影されていたのは、萩原みのりさんと笠松将さんが出演する、何気ないやり取りから二人の関係性が滲み出てくる、その日にピッタリのシーンでした。

終始穏やかで、あたたかい空気が漂う居心地の良い撮影現場だった宇賀那組。映画『転がるビー玉』の完成が楽しみです。

text:Sayaka Yabe
photo:Natsuko Okanobu
◯STAFF
監督/宇賀那健一(うがな・けんいち)
1984年生まれ、東京都出身。青山学院経営学部卒。ブレス・チャベス所属の映画監督 / 脚本家。過去作に『黒い暴動♥』、『サラバ静寂』他。『魔法少年☆ワイルドバージン』が2019年公開予定。
プロデューサー/戸川貴詞(とがわ・たかし)
1967年生まれ、長崎県出身。明治学院大学社会学部卒。2001年にカエルム株式会社を設立し、2004年に『NYLON JAPAN』創刊。現在、同社代表取締役社長、『NYLON JAPAN』編集長を務める。

『転がるビー玉』

2019年公開

「転がるビー玉」製作委員会